シュコダ博物館の新企画展—時間の痕跡を残す名車で辿る130年

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シュコダ博物館で新展示が開幕。納屋で眠っていた車両をそのままに近い姿で公開し、L&K 110やポピュラー モンテカルロなど23台で130年の歴史を体感。1906年建造の旧鍛冶工場を修復した会場でパティナを味わい、1948年ラピッドOHVまで網羅。予約制ガイド付きツアーや2026年からの追加料金も案内。

シュコダ博物館の新しい企画展は、ブランドの歴史を思いがけない角度から見せてくれる。完璧にレストアされたクラシックではなく、納屋やガレージ、あるいは忘れられた片隅で何十年も眠っていた車両を、見つかった姿のままに近い状態で並べる。金属のくすみや塗装の褪色といった“時間の痕跡”が会場に独特の空気を生み、創業130年の歩みを読み解く視点を新鮮にしている。磨くよりも刻まれた時間を見せるという選択が、歴史の手触りをはっきり伝えてくる。

会場は1906年に建てられた旧鍛冶工場を丁寧に修復したもの。重厚な鉄骨トラスや古い鉄製の支柱、そして三本の高い煙突が、ここでかつて蒸気ハンマーが唸りを上げ、大型金属部品を成形していた創業期の工業の時代を思い起こさせる。いま、その空間が忘れかけていた過去の断片に再び命を吹き込む。展示の思想と場所の記憶が響き合う構成だ。

一つのホールには23台が集められ、それぞれが固有の物語を帯びる。なかでも「L&K シュコダ 110 クーペ」は、1928年にスポーティなオープンモデルとして生まれ、その後イフラヴァでボディが改造された個体だ。1933年の写真が残り、当時の所有者の家族とこの車を結び付けている。1973年には、立ち上がりつつあった博物館のコレクションに加わり、初期の歴史的収蔵品となった。履歴の層が立体的に伝わってくる一台である。

その隣には、希少なロードスター・デラックス仕様の「シュコダ・ポピュラー モンテカルロ」が鎮座する。1936年のプラハ・モーターショーのために造られた特別な個体で、ボンネットには青灰色メタリックの塗装跡がかすかに残る。これは当時、選ばれたショーモデルに用いられた展示色だった。複数のオーナーのもとで歳月を重ねたのち、約5年前にムラダー・ボレスラフへ戻り、かつて同じショーの台座を分かち合ったモンテカルロ・クーペと並んで展示されている。往年のショーシーンが目に浮かぶ組み合わせだ。

展示はシュコダの初期の自動車開発を幅広くカバーし、1913年の「L&K Sd」から、先行世代の横に置かれるとほとんど現代的に見える1948年の「シュコダ・ラピッド OHV」までを見渡せる。1960年代後半からコレクションに加わっている車両もあれば、より近年の収蔵もあり、どの個体もブランドの進化の異なる局面を映し出す。時代感のグラデーションが一望できるラインアップだ。

この展示が置かれているのは、かつて塗装工場やエンジン試験台を備えていた、旧工場群で最も古い建物。ここでは複数のラウリン&クレメント車も生産されており、空間そのものが歴史的意味を重ねている。ガイドツアーは約30分で、事前予約が必要。2026年からは、このセクションへの入場に標準チケット料金に加えて100チェコ・コルナの追加料金が設定される。訪れるなら計画的に回りたい。

新ホールのオープンは、シュコダ博物館の本格的な拡張に向けた第一段階となる。来年には、1950年代から現代までの試作車や実験モデル、デザインスタディに特化した新セクションの公開が見込まれており、シュコダの発展をより立体的に捉え、世代を超えてブランドの進路を形づくってきた車両を一堂に集める場になりそうだ。期待は自然と高まる。

Mark Havelin

2025, 12月 09 23:55