ルノー・フィランテ、新型グローバル旗艦クロスオーバーの全貌

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ルノー・フィランテの詳細解説。CMAプラットフォーム採用の新型クロスオーバーは、250馬力E-Techハイブリッドと34種類の運転支援、openRスクリーンを搭載。2026年に韓国で先行発売。広い後席スペースやパノラミックガラスルーフで快適性を強化。韓国の後、ラテンアメリカと湾岸諸国へ展開。グローバル戦略の新旗艦。

ルノー・フィランテは、単なる新型クロスオーバーという枠に収まらない。ここ数年のルノーを象徴するプロジェクトの一つとして、同社のグローバル戦略の要を担う存在として姿を現した。欧州市場の外で掲げる旗艦として、そしてRenault International Game Plan 2027を具体化するモデルとして、企画段階から位置づけられている。

フィランテはフランスと韓国のチームが緊密に連携して開発し、明確に海外の顧客を見据えた。生産は釜山のRenault Korea Motors工場で行われ、2026年3月に韓国で最初に発売。その後はラテンアメリカ、続いて2027年初頭に湾岸諸国へと展開する。

Renault Filante / renault.com

土台となるのは、ジーリーのエコシステムで開発されたCMAプラットフォーム。すでに複数の国際モデルで採用されているアーキテクチャだ。ルノーにとっては、グローバルなプラットフォームとパートナーシップを活用し、開発を加速させつつ各地域のニーズに合わせるという方針の継続と言える。同様のアプローチは、グランド・コレオスの投入時にも見られた。地域ごとの要望に合わせて素早く仕立てるには理にかなった選択だ。

Eセグメントに位置づけられるフィランテは、サイズとステータス、そして快適性を不可分と考える顧客を狙う。キャビンの雰囲気は上級クラスの航空機を思わせるとルノーは表現しており、室内設計、静粛性、広さ、細部への配慮がその印象を後押しする。この語り口が大げさに響かないのは、各要素のトーンが揃っているからだ。

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外観は滑らかな面とシャープでテクニカルなラインの融合。力強いフロントから表情豊かなリアへとつなぐ連続したショルダーラインが全体を伸びやかに見せる。傾斜したルーフや“浮いた”ように見えるスポイラー、絞り込んだリアなどの空力要素は、躍動感だけでなく効率志向の姿勢も物語る。フロントには発光するロゴと独自のライティングシグネチャーを採用。光のエレメントは独立したデザインオブジェクトとして扱われ、ルノーのエンブレムと呼応する28度の角度で配置されている。

インテリアは、開放感と洗練されたテクノロジーを軸に造形。ドライバー側から助手席側まで横断する大型のパノラミックなopenR screenが、デジタル体験の中核を成す。素材やテクスチャ、仕上げは快適性と上質感を際立たせる選択。後席の膝まわりは約32cmを確保し、パノラミックガラスルーフが明るさと開放感をさらに高める。この数値なら、長距離でも余裕が生まれるはずだ。

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テクノロジー面は常道の一歩先を狙う。次世代のデジタルサービスに加え、12.3インチのディスプレイ、ナビゲーションに基づくレコメンド、車内シーン向けの拡張現実機能(ゲーム用途を含む)を備える。専用の画像処理アルゴリズムにより、システムのパフォーマンスと応答性を高めている。

安全と快適のために、34種類の運転支援機能を用意。回避操作を助ける緊急操舵支援や、スマートなデジタル式インナーミラー、車内の空気質を高める機能などが含まれる。さらに、再生材やレザー代替素材といった環境配慮素材の活用もアピールする。この積み上げは、見えない部分の満足度に効いてくる。

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パワートレーンは、250馬力を発生するフルハイブリッドE-Techシステムの進化版を採用。詳細な技術仕様はまだ公表されていないが、このハイブリッド構成は、2027年までに欧州以外の販売で3台に1台を電動化またはハイブリッドにするというルノーの目標に直結する。数字の開示を待ちたいが、方向性は明快だ。

車名のフィランテは、ルノーのエンジニアリングの系譜に根ざす。1956年に世界速度記録を樹立したプロトタイプ「エトワール・フィランテ」、そして1000km超の距離で高い電動効率を示した「フィランテ・レコード2025」コンセプトを想起させる存在だ。この新しいクロスオーバーは、単なる一車種にとどまらず、過去の成果とこれからの進路を結ぶ架け橋として位置づけられる。

国際ラインナップの中でフィランテは、カルディアン、ダスター、ボレアル、コレオスと肩を並べる最上位に座る。製品以上の意味を持つこのモデルは、重点地域での存在感を強めるための戦略的な道具でもある。欧州外での成長をどう描くか――ハイブリッド技術と高い快適性、そして自信ある成熟した立ち位置で示す、というルノーの方針を体現する一台になりそうだ。

Mark Havelin

2026, 1月 14 11:57