メルセデス・ベンツ新型GLB徹底解説:800V・2速EVで631km、MB.DRIVEやV2H、先進デザイン

新型メルセデス・ベンツGLB発表 800V・2速EVで631km航続、320kW急速充電とMB.DRIVE
mercedes-benz.com

メルセデス・ベンツ新型GLBの技術とデザインを詳報。800Vアーキテクチャと2速EVでWLTP631km、最大320kW急速充電。MB.DRIVEの先進運転支援、V2H、2t牽引、cd0.28の空力も解説。EDU 2.0や200kW回生、SKY CONTROL、MBUX、OTA対応、48Vハイブリッドも。

メルセデス・ベンツが新型GLBの技術とデザインの詳細を公開した。エンジニアリング志向のコンパクトSUVであると同時に、デジタル機能と使い勝手を軸にした日常の相棒として仕立てた、と位置づける。注目点はパワートレイン、安全・運転支援といった機能面と、デザインや空力の作り込み。特にEVでは空気の流れがそのまま実航続距離に直結するだけに、この組み合わせは理にかなっている。

メルセデス・ベンツ GLB
Mercedes-Benz GLB / mercedes-benz.com

導入時には2つのバッテリーEV仕様を用意。EQテクノロジーを搭載するGLB 250+と、同じくEQテクノロジーを採用したGLB 350 4MATICだ。GLB 250+はWLTP最大631キロメートルの航続距離をうたい、電源アーキテクチャは800V。これにより短時間の充電ストップを想定しており、800V対応のDC急速充電では最大320kWに対応。ISO/SAE 12906の条件下で10分間に最大260キロメートル(WLTP)ぶんのエネルギーを取り込めるという。さらに、オプションのDCコンバーターで400Vインフラにも対応可能。交流(AC)では最大22kWでの充電が可能で、11kWが標準、22kWはオプションとなる。数字を見る限り、日常の使い勝手は高い。

メルセデス・ベンツ GLB
Mercedes-Benz GLB / mercedes-benz.com

電動パワートレインは効率と牽引力の両立を狙う。新開発のElectric Drive Unit「EDU 2.0」は、長距離走行で93%のバッテリー・トゥ・ホイール効率を掲げる。駆動方式は後輪駆動が基本。上級セグメントでおなじみのレイアウトをこのクラスに持ち込んだ格好だ。ハードウェアは、永久磁石同期モーター(PSM)にエネルギー効率重視のSiCインバーターを組み合わせ、従来世代より重希土類の使用量を抑えている。この選択は走りの質にも効いてくる。

リアアクスルには2速トランスミッションを採用。1速は発進の力強さや牽引、街中での効率を狙ったショートレシオ、2速は高速域の加速と高速道路での効率を担当し、最高速度は2速で到達する。EVでの多段化はまだ珍しいが、用途に応じた最適化には理にかなう。

メルセデス・ベンツ GLB
Mercedes-Benz GLB / mercedes-benz.com

GLB 350 4MATICには80kWの前輪駆動ユニットを追加。必要に応じて加速やトラクションを上乗せするブースト役として作動する。低負荷時にはフロントモーターを切り離すディスコネクト・ユニット(DCU)を備え、前軸側の損失を最大90%低減できるとし、航続の伸びに寄与する。

実用面では牽引性能もアピール。オプションのセミ電動トレーラーヒッチ装着時、EVのGLBは最大2トンを牽引でき、フルサイズのキャラバン牽引も視野に入るという。さらに、双方向充電(V2H/V2G)への対応準備も完了。市場投入後にOTAで後日機能を提供する計画で、導入は各国の法規や電力会社の要件に左右される。牽引2トンと双方向充電の組み合わせは、アウトドア派にも日常電源としても使い道が広がる。

メルセデス・ベンツ GLB
Mercedes-Benz GLB / mercedes-benz.com

効率化はブレーキと回生でも進む。新しいワンボックス・ブレーキシステムは回生を最適化し、最大200kWの回生出力を確保。回生モードは4種類(回生なしのコースティングや自動最適化を含む)を用意し、自動モードではECOアシスタントがアクセルオフを促し、状況によっては完全停止まで導く。

運転支援はMB.DRIVEに統合。欧州仕様では8台のカメラ、5つのレーダー、12の超音波センサーを備え、水冷式の高性能コンピューターが将来機能のための余力を確保しつつ、定期的なOTAアップデートに対応する。オプションのデジタルパッケージとしては、MB.DRIVE ASSIST(SAEレベル2、車線変更サポート付き)から、今後予定される高度な支援機能までを設定。パーキングアシストも更新され、空きスペース検出の精度向上、斜め駐車への対応、出庫時の自動操作を盛り込む。ハードを厚くしたうえでソフトを磨き続ける発想だ。

受動安全では、サイドシルにハニカム構造を組み込み、側面衝突でのエネルギー吸収を強化。GLBにはセンターエアバッグが標準で備わる。高電圧系の安全は多段階コンセプトで、衝突の程度に応じて可逆・不可逆の遮断を使い分け、救助活動向けのカットオフポイントも設けられている。

メルセデス・ベンツ GLB
Mercedes-Benz GLB / mercedes-benz.com

EVのデビューに続き、48Vハイブリッドも控える。電動モーターをコンパクトな8速eDCTに一体化し、条件次第で市街地速度なら電動走行が可能。約100km/hまでのいわゆるエレクトリック・セーリングや、最大25kWの回生にも対応する。内燃機はM 252と呼ばれるFAMEファミリーの1.5リッター直4で、12:1の圧縮比を持つミラーサイクルを採用。NVHの洗練にも配慮されている。

デザイン面では、光でブランドらしさを描くアプローチを前面に。フロントはイルミネーテッドパネルがクラシックなグリルを現代的に解釈し、94個のクローム調スターをちりばめ、ウェルカム/フェアウェルのアニメーションも用意する。中央のスターの点灯は法規の関係で市場により異なる。エクステリアは直立した姿勢、短いオーバーハング、最大20インチのホイールといったSUVの定石を押さえ、ヘッドランプ内の星モチーフとリアランプを結ぶライトストリップで光のテーマを貫く。

パノラマルーフも見どころだ。オプションのSKY CONTROLは、ルーフの透過率をセグメントごとに10~20ミリ秒で切り替えられ、クリア/不透明/モチーフの各設定に対応。アンビエントライトと連動する158個の発光する星で星空効果も楽しめる。なお、イルミネーションパターン付きのSKY CONTROLは後日提供予定で、時期は変更になる可能性がある。

メルセデス・ベンツ GLB
Mercedes-Benz GLB / mercedes-benz.com

インテリアはハイテク要素を核にしたミニマルな建付けへ。オプションのMBUXスーパースクリーンを頂点に、10.25インチのドライバーディスプレイと14インチのセンターディスプレイを配置。市場投入後には14インチの助手席ディスプレイも追加予定で、未装着時はガラス調の雰囲気を継ぐ星柄トリム(オプションでバックライト付き)が入る。ステアリングの操作系では、リミッターとDISTRONICの物理ロッカーやボリュームローラーが復活。顧客の声を反映した変更で、触れてわかる操作系は長距離で効く。

EVにとって空力は航続に直結する指標だ。新型GLBの空気抵抗係数はcd=0.28、前面投影面積は2.6 m²。前面投影面積がわずかに拡大しながらも、総合空気抵抗(cd × A)は先代より低いとする。前後バンパーの整流、各種すき間のシーリング、Aピラーやミラー形状の最適化、ほぼ全面を覆うアンダーボディ、空力を意識したホイールとタイヤなどを採用。さらにエアロアコースティクスとしてシーリングと断熱の強化、前側面の防音ラミネートガラス(オプション)も用意し、80km/h以上で側窓やミラーの汚れの低減にもつなげている。数値だけでなく、日常の快適さに効くディテールが多い。

総じてメルセデス・ベンツの語る新型GLBは、800Vアーキテクチャが支える高速充電、2速トランスミッションを備えた効率志向の電動駆動、そしてOTAで拡張していく運転支援プラットフォームを柱に据える。アシスト機能から双方向充電まで後から機能を解放するソフトウェアの前提を強く打ち出し、ハードだけでなく、購入後に育てていける一台として位置づけている。そうした設計思想は、このクラスのEVに求められる日常性と先進性のバランスに、うまく答えているように映る。

Mark Havelin

2025, 12月 10 20:26