プロジェクト・クロモロジー:マクラーレンMSOとナット・ボウエンが生む750Sのアートパーソナライズ
マクラーレンMSOが抽象画家ナット・ボウエンと組む「プロジェクト・クロモロジー」を発表。750Sに多層のクロマティック・レイヤード・フィニッシュと24金バッジを採用し、色彩心理でオーナーの感性を映す唯一無二のパーソナライゼーションを提案。マイアミ・アート・ウィークで披露された塗装表現が、車体に奥行きと立体感を与える。
マクラーレン・オートモーティブが「プロジェクト・クロモロジー」を公開した。英国の抽象画家ナット・ボウエンと組み、750Sを新しい観点で解釈した特別仕様だ。彼女が樹脂を重ねて生む多層アートと、色彩の心理学=クロモロジーの探究を、自動車デザインへ置き換える試みでもある。両者のタッグはこれが初ではない。ボウエンは以前、ドバイで披露されたマクラーレン・アルトゥーラのアート版を手がけている。
この新プロジェクトに向けて、マクラーレン・スペシャル・オペレーションズ(MSO)は「クロマティック・レイヤード・フィニッシュ」を開発。光との相互作用で奥行きと階調を引き出す、多層の半透明ペイントだ。さらにMSOとしては初めて、塗膜にごく控えめな隆起テクスチャーを組み込み、ボウエンの樹脂作品が持つ物理的なキャラクターを響かせつつ、仕上げに立体感を与えた。ボディの面で光が移ろうたび、質感の変化が際立つはずだ。
プロジェクト・クロモロジーの各750Sには、感情のプロファイルから導いた唯一無二のパレットが与えられる。マクラーレンとボウエンによれば、選ばれた色はオーナーの気分や個性を映し、静かで思索的なトーンから、大胆でエナジェティックな組み合わせまで幅広い。色を感情表現の媒体とみなすクロモロジーの考え方に沿うアプローチで、単なる塗色指定を超えてパーソナライゼーションの核に色を据えているのが興味深い。
さらに、MSOとして初となるホールマーク入りの24カラット金メッキ・バッジが登場。フロント、サイド、リアに配される。各バッジのベースカラーはパレットの中心色に正確に合わせられており、視覚的なアイデンティティに統一感をもたらす。各コミッションには、車両の色調テーマを映したボウエンのオリジナル作品も付随する。バッジの色合わせまで徹底するあたり、細部への神経が行き届いている。
お披露目の舞台はマイアミ・アート・ウィーク。現代アートの世界的イベントで、ギャラリーやコレクター、視覚表現に挑むブランドが集う。そこでのデビューは、マクラーレンが重視するパーソナライゼーションと、クルマのデザインに宿る芸術性を際立たせた。MSOにとっても、素材表現の新しい方向性と技術力を示す好機となっている。自動車メーカーがアートの文脈に踏み込む意味でも、理にかなった選択だ。
アートとの協業が自動車業界で存在感を増すなか、プロジェクト・クロモロジーは、芸術的手法がハイパフォーマンスカーのパーソナライゼーションをどう形づくり得るかを示した。色彩研究の可能性をカーデザインへ広げる取り組みであり、オーダーメイドのクラフツマンシップにおけるMSOの存在感もいっそう強固になっている。流行で終わらせない姿勢が、プロジェクト全体から伝わってくる。
Mark Havelin
2025, 12月 12 16:39