日産自動車が企業のサステナビリティで世界の先頭グループに数えられ、CDPのAリストに気候変動と水セキュリティの両分野で2年連続で選ばれた。これは単発の出来事ではない。気候変動では13年連続でリーダーシップレベルの評価を維持し、水セキュリティのAリスト入りも7年連続。数字が物語るのは、継続性こそ最大の説得力ということだ。CDPは環境情報の透明性に関する世界有数のベンチマークとして、機関投資家やESGアナリストに広く用いられている。評価は開示だけにとどまらず、ガバナンス、リスク管理、戦略、測定可能な行動までを見ていく。参加企業のうちAリストに到達するのは約2%に過ぎないとされ、選抜の厳しさがうかがえる。指標の重みを考えれば、この結果の意味合いは小さくない。日産の強さは、中期環境戦略Nissan Green Program 2030を着実に運用してきたことに根ざす。同プログラムでは、気候変動と水資源のマネジメントを中核テーマに据え、グローバルの事業運営とバリューチェーン全体に織り込んでいる。現場に落とし込まれた施策の積み上げが見えてくる。長期では、2050年までのカーボンニュートラル達成を掲げる。対象は事業活動だけでなく、製品ライフサイクル全体に及ぶ。電気自動車やe-POWERなどの電動化車種の拡充、再生可能エネルギー比率の引き上げ、工場やオフィスでの省エネ施策の導入といった具体策で前進している。腰を据えた歩み方だ。水セキュリティも同社の環境アプローチを支える重要な柱だ。世界各地の生産拠点で、世界資源研究所が開発したAqueduct Water Risk Atlasを使って水関連リスクを評価。水ストレスの高い地域では、総使用量の削減、排水の再利用、雨水の活用に力を入れ、排水処理の基準は各地域の規制要件を上回る水準を掲げる。水を巡る地域事情に応じた打ち手を丁寧に選んでいる印象だ。気候戦略の象徴例として、英国のEV36Zeroプロジェクトがある。電気自動車の生産、バッテリー製造、再生可能エネルギーの活用をひとつの産業エコシステムとして結び、低炭素ものづくりへの現実的なステップと位置づけられている。現物のプロジェクトとして説得力があるし、移行を後押しする仕立てだ。近年、CDPスコアは投資判断に組み込まれる比重を増している。だからこそ、日産がAリストに居続けることは単なる評判以上の戦略的な意味を帯びる可能性がある。年を重ねてもぶれない結果は、環境パフォーマンスが独立した取り組みではなく、同社の長期ビジネスモデルの核に入りつつあることを示唆している。表層的なサステナビリティではなく、経営の地層に沈み込んだ実務──そう受け止めたくなる。
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水セキュリティも同社の環境アプローチを支える重要な柱だ。世界各地の生産拠点で、世界資源研究所が開発したAqueduct Water Risk Atlasを使って水関連リスクを評価。水ストレスの高い地域では、総使用量の削減、排水の再利用、雨水の活用に力を入れ、排水処理の基準は各地域の規制要件を上回る水準を掲げる。水を巡る地域事情に応じた打ち手を丁寧に選んでいる印象だ。