世界初の統合都市「Mercedes-Benz Places | Binghatti City」ドバイで始動—住宅・モビリティを束ねるブランド都市計画

メルセデス×ビンガッティ、ドバイで統合都市Mercedes‑Benz Places発表―世界初のブランド都市構想
mercedes-benz.com

メルセデス・ベンツとビンガッティがドバイで「Mercedes-Benz Places | Binghatti City」を発表。住宅、リテール、モビリティハブを統合し、Sensual Purityの都市設計でブランド不動産を拡張する計画を詳説。複数タワーと公園、ウェルネス施設を備え、徒歩圏のサービスで日常を支える。

メルセデス・ベンツがドバイのデベロッパー、ビンガッティと組み、メルセデス・ベンツの名のもとで一体的に開発される世界初の都市「Mercedes-Benz Places | Binghatti City」を発表。ドバイのメイダン地区に計画される本プロジェクトは、住宅、都市インフラ、モビリティソリューションをひとつの統合環境にまとめ上げる、いわば「街の中の街」を目指す大規模構想だ。自動車ブランドが都市丸ごとを担うという踏み込みは、ブランド体験のスケールを一段引き上げるアプローチに映る。

本件は両社にとって2度目の協業であり、ビンガッティにとっては初のフル・マスタープラン型コミュニティとなる。総開発面積は約900万平方フィート。Mercedes-Benz Placesの概念は、単独の建築物から複数タワーが連なる都市ディストリクトへとスケールアップする。単発の象徴的建築から地区開発へ軸足を移すことで、日常の風景の中での存在感は一層濃くなるはずだ。

公表されたコンセプトでは、住宅タワーに加え、文化・レジャーのエリア、リテールのブールバール、公園やグリーンコリドー、さらにウェルネス、スポーツ、コミュニティのスペースまでを編み込む。都市の織り地にはモビリティハブも組み込む計画で、徒歩圏で日常の用を済ませられるサービス提供と、建築・サービス・移動が密接に結び付いた一体的な生活環境の実現を狙う。移動の結節点を日常動線に溶かし込む発想は、クルマ中心の発想から「移動体験の設計」へ視点をずらした印象だ。

この取り組みは、Mercedes-Benz Placesのグローバル展開を土台にしている。両社による最初の共同開発であるドバイ・ダウンタウンの65階建てレジデンスタワーはすでに建設が進行中で、メルセデス・ベンツはJDS Development Groupと組んだマイアミのブランド住宅プロジェクトを通じて米国の不動産市場にも参入している。Binghatti Cityでは、そのコンセプトが単体ビルから相互に連なるディストリクトへと進化する。世界各地での足場づくりを段階的に重ねてきた流れの延長線上にあり、ブランドの使い方がより戦略的に見えてくる。

建築面では、自動車デザインで培った「Sensual Purity(官能と純粋)」というデザイン哲学を、都市の空間に転写する構えだ。車両を越えて建築やアーバンデザインへとデザイン言語を広げたいという意思が読み取れる。プロダクトからスケールを越境させると、細部の造形だけでなく動線や余白の取り方まで一貫性が問われるが、その挑戦自体がブランドの核を試すことになる。

こうしたブランド不動産を通じて、メルセデス・ベンツは自動車の枠を超えたトータルなブランド体験を築く戦略を進めている。Mercedes-Benz Places | Binghatti Cityは、その広いビジョンの一端を担い、モビリティ、デザイン、ライフスタイルをひとつの都市環境に織り込みながら、ブランドとの新たな接点を生み出していく位置づけだ。体験の接地面を街にまで拡張できれば、クルマの価値が「所有」から「関わり」へと広がる手応えが生まれる――そんな期待を抱かせる計画だ。

Mark Havelin

2025, 12月 18 14:13