MSRP据え置きでも新車総額は上振れ—米メーカーのデスティネーション費引き上げが加速

米自動車メーカー、MSRP据え置きで配送費を大幅増額—2025年F-150等で負担増、実質価格上昇が続出
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米自動車メーカーがMSRPを据え置いたままデスティネーション(配送)費を引き上げ、実質価格が上昇。フォードF-150やシボレーなど2025年モデルで負担増の実態と背景、消費者への影響を解説。デトロイト勢と独系の費用差、米規制下での表示義務や上限なしの現状、購入前に確認すべきポイントも紹介。価格設計の違いも解説

米国の自動車メーカーは、公表されるMSRP(メーカー希望小売価格)をいじらずに、新車の実質的な負担額を引き上げる動きを強めている。基礎価格を動かす代わりに、メーカーは「デスティネーション(輸送)/デリバリー」チャージの上乗せに頼っており、これは購入者が支払う最終価格に必ず加算される必須の手数料だ。

この手法は直近のモデルイヤーで一段と目立つ。シボレー、フォード、ラムは、2025年および2026年の多くのラインアップで、デスティネーションチャージをおよそ1,995ドルから2,595ドルへ引き上げた。MSRP自体は据え置かれる一方、ウィンドウステッカーに記される合計金額はじわじわ膨らみ、実際の支払価格を押し上げている。こうした“見えにくい”値上げは、ショールームでの印象と最終的な支出とのズレを生みやすい。

市場の専門家は、この流れを、関税やインフレ、景気の先行き不透明感といった圧力を相殺しようとする自動車メーカーの動きと結びつける。デスティネーションチャージとは、工場や港からディーラーまで車両を運ぶ費用のことで、すべての顧客に一律で適用される。購入者が製造拠点の近くに住んでいても免除はされない。

業界内での上げ幅にもムラがあるとアナリストは指摘する。デトロイト勢は海外メーカーに比べ、これらの手数料をより積極的に引き上げている。BMW、メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲンといったブランドは引き続き比較的低いデスティネーション費用を掲げ、価格設計の差が広がっていることを浮き彫りにしている。こうなると、価格の組み立て方の違いが購買体験にも影を落とす。

具体的なモデルを見ると、変化の大きさが見えてくる。フォードF-150のデスティネーション費は2023年モデルで1,795ドルだったが、2025年には2,595ドルへと引き上げられた。シボレー・シルバラド1500でも同様の傾向が見られ、モデルイヤーをまたぐごとに配送費が着実に上がっている。

法的には、このやり方は米国の規制のもとで認められている。デスティネーション費は別建てで表示することが義務づけられている一方、その額に上限は設けられていないからだ。消費者にとっては、MSRPだけでは新車の本当の購入コストを測りにくくなっている、ということでもある。値札の見出しよりも、但し書きのほうが存在感を増している。

生活コストの高止まりと経済への不安が続くなか、必須手数料の引き上げは新車の手の届きやすさにさらに重くのしかかる。今の流れが続けば、デスティネーション費は単なる細目ではなく、メーカーの価格戦略を左右する中核的なレバーとして位置づけが固まりかねない。

Allen Garwin

2025, 12月 25 16:25