テスラ・モデル3の緊急時ドア解放装置、NHTSAが欠陥申立ての審査開始

NHTSAがテスラ・モデル3の緊急ドア解放を審査:手動レバーの識別性に疑義、約17万9000台対象 安全懸念も
Calreyn88, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

米NHTSAが2022年型テスラ・モデル3の緊急時ドア解放装置について欠陥申立ての審査を開始。手動レバーの視認・識別性が焦点で、約17万9000台が対象。現時点でリコール確定ではないが、安全性の行方に注目。電源喪失時の想定で、機械式オーバーライドの到達性と表示の明確さを検証。救助遅延の懸念も。詳細を解説。

米国の道路交通安全局(NHTSA)が、2022年型のテスラ・モデル3に対して欠陥申立ての審査を開始した。焦点となっているのは、緊急時に使う機械式ドア解放装置の設計だ。

審査の対象は推定約17万9000台。発端となった申立てでは、緊急時に手動のドア解放レバーが見つけにくく、識別しづらいという指摘が寄せられている。NHTSAは現段階を初期的な検討段階だと位置づけており、申立ての受理が直ちにリコールや安全欠陥の確定を意味するわけではないとしている。

問題の核心は、重大な衝突で電源が完全に失われたケースだ。電気式のドアオープナーが機能しない場合、乗員や救助隊は機械式のオーバーライドに頼るしかない。申立て側は、この手動の解放装置が目に付きにくく、表示もなく、直感的に操作しづらいと主張しており、脱出や救助の遅れを招きかねないという。

NHTSAは審査の主題について、緊急脱出用の操作系が容易に手が届き、明確に識別できるかどうかを検証していると説明する。現時点で、この申立てに関連づけられた負傷事例は1件だが、メディアの取材拡大もあり注目が集まっている。

ブルームバーグやワシントン・ポストの報道では、テスラ車の死亡事故のいくつかで、ドアハンドルの設計や電源依存の開閉機構が救助活動を難しくした可能性が取り上げられた。電気系統が停止した後、乗員や救助者がドアを開けるのに苦労したケースがあるとされる。

テスラのミニマルなドア設計は、従来型の機械式ハンドルよりも造形のクリーンさや空力を優先してきた。その設計哲学が、いま規制当局の視線を集めている。もしNHTSAが緊急解放装置の配置によって避難が遅れると判断すれば、より明確な表示から、より大きな設計変更まで、対応は幅広くなり得る。一方で、審査は始まったばかりで結論は見えていない。デザインの美しさと実務の直感性の折り合いをどこでつけるのか——現場で迷わず触れて確実に作動することが命綱になる以上、最後に頼れるレバーは誰にとっても見つけやすく、操作しやすいものであるべきだ。

Allen Garwin

2025, 12月 26 03:18