SEATがIbizaとAronaを刷新—新色LiminalとOniricでカラーパレット拡充

SEAT Ibiza/Aronaに新色Liminal/Oniric、ボディカラー刷新とデザイン戦略の狙い
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SEATがIbiza/Aronaを刷新。新色LiminalとOniricを投入し、ボディカラー開発の哲学やテスト工程、バーチャル由来の美学を解説。Oniricは発売中、Liminalは2026年3月導入予定。内外装の更新やMHEV計画も紹介。色が性格を際立て、走行時の見え方も配慮。ガソリン継続と段階的MHEV化にも言及

SEATは、テクノロジーや装備だけでなくビジュアル・アイデンティティにも目を配りながら、コンパクトモデルの刷新を進めている。改良を受けたIbizaとAronaには、入念な創造とリサーチを重ねて生み出した専用ボディカラー、LiminalとOniricが加わった。色そのものを戦略の核に据える姿勢が見て取れる。

新しい自動車用カラーの開発には数カ月と数百に及ぶテストが欠かせない。SEATのデザイナーは、色づくりは単なる色合い選びではなく、顔料、光、素材が決定的な役割を担うと説明する。色は紙や布、金属で振る舞いが変わり、見る角度や光の条件でも表情を変える。常に動き続けるクルマでは、その複雑さが一段と重要になる。だからこそ、走行中の見え方まで織り込んだ設計思想が活きてくる。

2色はいずれも、現実と人工の境界が曖昧になりつつあるバーチャル世界の美学に着想を得ている。その中心にあるのがLiminalだ。語が示すのは遷移する状態で、そのコンセプトを色で可視化した。光の当たり方によってオレンジ寄りにもマゼンタ方向にも転じ、車両が動くたびに異なるニュアンスをのぞかせる。

一方のOniricは狙いどころが異なる。目に映る粒子感を排した、非常にクリーンで静かな色を目指したという。バーチャル空間に広がる夢のような湖を着想源に、ほのかなグリーンの気配と澄んだ印象を重ね、控えめでどこか瞑想的な佇まいを保ちながら、しっかりとした奥行きを与えている。その落ち着きが魅力の核だ。

これら2色は、既存の専用色Hypnoticと並び、IbizaとAronaの更新されたカラーパレットを広げる。Oniricは両モデルで既に選択可能。Liminalは2026年3月から導入され、市場での展開は2026年春の生産スケジュールに連動する。

新色の投入は、IbizaとAronaの広範なアップデートと歩調を合わせる。エクステリア各部がリフレッシュされ、ホイールデザインは新しく、室内の素材も向上した。同時にSEATはガソリンパワートレインを継続しつつ、将来の排出ガス規制に備え、今後数年でマイルドハイブリッド技術を段階的に取り入れる構えだ。移行期に現実解を選ぶ判断が感じられる。

LiminalとOniricによって、色は単なるスタイリングを超える要素になった。モデルの位置づけの一部として機能し、Ibizaの若々しくダイナミックな性格を際立たせ、Aronaの頑丈で多用途なイメージを支える。同時に、デジタルやバーチャルの影響が現代のカーデザインをどう形づくっているのかを、色という手段で端的に映し出している。

Mark Havelin

2026, 1月 11 23:56