ファントム誕生100年を振り返る: 25台限定コレクションとグッドウッドの未来

ロールス・ロイス ファントム100周年: 25台の記念コレクションと文化的遺産、世界イベントとビスポークの現在地
press.rolls-roycemotorcars.com

ロールス・ロイスの象徴、ファントム100周年を総括。8世代が世界の記念イベントに集結し、25台限定Phantom Centenary Private Collectionも披露。ビスポークの深化とグッドウッドの拡張で次の百年へ。文化的継承の再解釈や特別シャシープレートも注目、所有者コミッションも続々

2025年を通じて、ロールス・ロイス・モーター・カーズはファントム誕生100周年を、同社で最も象徴的なモデルを見つめ直す一年へと仕立てた。この節目は単なる通過点にとどまらず、所有者の野心や審美眼、そして文化的影響に形づくられながら、ファントムが時代を映し続けてきた一世紀を改めてたどる機会になった。企画の置き方からも、その自負が自然と伝わってくる。

ファントムは1925年に初登場し、8世代へと進化しながらもロールス・ロイスの頂点であり続けてきた。100周年の年には、名だたるコンクール・デレガンスから文化イベントまで、5大陸にわたる記念行事に8世代すべてが姿を見せ、自動車の枠を超えた役割を改めて印象づけた。

祝賀の中心は、台数わずか25台のPhantom Centenary Private Collectionのお披露目だった。ロールス・ロイスはこれを、同社史上もっとも複雑で技術的に野心的なプライベート・コレクションだと位置づける。精緻な木象嵌や刺繍、重ね合わせた装飾技法、ビスポークのアートワークによって、各車がファントムの最初の100年を象徴する物語を読み解く存在となり、コレクション全体は走る歴史アーカイブの趣を帯びた。目に見える手仕事の密度が、語りの厚みを支えている。

同時に、世界各地の顧客のもとへ、極めて個性の強いファントムのコミッションが次々と納車された。なかには、この周年を見据え、何年も前から構想されてきた一台も少なくなかった。2025年にグッドウッドで手作業で仕立てられたすべてのファントムには特別な記念シャシープレートが据えられ、モデルの百年に連なる一頁であることが刻まれた。所有者それぞれの解釈が、ファントムという大きな物語にさらに層を加える。

文化的継承も、100周年プログラムの重要な柱となった。ロールス・ロイスは、音楽やアートと長く結びついてきたファントムの関係をあらためて掘り下げ、記録に残る史実だけでなく、このモデルを長年彩ってきた伝承にも目を向けた。そうした物語のいくつかは、象徴的なインスタレーションや意匠を凝らした演出で再解釈され、ファントムが広い文化的記憶に組み込まれていることを改めて確かめさせた。移動手段の外側で、存在意義を示すアプローチだ。

周年の一年は、しっかりと未来も見据えていた。グッドウッドの本拠では、ビスポークの能力を高める大規模な施設拡張が進行中だ。こうした文脈のなかで、ファントムはブランドの主要な創造のキャンバスであり続け、新素材や新技法、個の表現を試す場の最前線に置かれるのは必然に思える。

100周年は、章を閉じる合図ではなく、次の時代への移行点だ。これからの数十年に向けた位置づけが進むなかで、ファントムの物語は、伝統、個々のパトロネージ、そしてクラフツマンシップの持続的価値が交わる地点で書き継がれていく。これらの要素は、最初の百年と同じ明瞭さで、第二世紀をもかたちづくっていくはずだ。その展開は、ファントムに向き合えば自然と腑に落ちる。

Mark Havelin

2025, 12月 19 21:20